限られた営業リソースで成果を最大化するには?──CACとLTVから考える営業DXの本質
1. CACは下がりにくい構造にある
顧客獲得単価(CAC:Customer Acquisition Cost)は、広告費や営業活動にかかるコストを考慮すると、年々上昇傾向にあります。特にBtoB領域においては、競合の増加や広告市場の飽和により、一定ライン以下に下げるのは困難とされています。
Salesforceの解説でも指摘されているように、CACの抑制はもはや限界を迎えつつあります。
2. 営業成果を最大化するカギは「受注効率」と「工数最適化」
限られた営業リソースで最大限の成果を出すには、1件あたりの商談をいかに効率よく受注につなげるかが問われます。そのためには、以下のような視点が重要です:
- インサイドセールスによる商談前の情報整理
- 顧客に合わせた提案シナリオのテンプレート化
- デジタルツールを活用したヒアリングと意思決定の高速化
営業工数を「削る」のではなく、「集中すべきポイントに再配分する」ことが求められています。
3.商材理解の深化がアップセルを生む
単なるクロージングだけでなく、導入後の活用支援やフォローによって、顧客の商材理解が深まります。この理解が深まることで、
- 追加機能の利用
- 契約プランのアップグレード
- 社内他部門への横展開
といったアップセル機会が自然に創出されていきます。営業担当者にとって「契約完了=終わり」ではなく、「理解促進=次のビジネス」の起点に変える視点が不可欠です。
4.LTVを最大化するために必要な視点
CACの対概念ともいえるLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)は、1件あたりの売上を最大化する考え方です。受注単価×継続期間×アップセル率──この3つを高めることが、CACの高さを打ち消す最も有効な戦略です。
継続的なフォロー、カスタマーサクセス部門との連携、コンテンツマーケティングによる関係維持など、組織横断での取り組みが求められます。
5.DXは「営業余白」を生むためにある
営業DXとは、ただのIT導入ではありません。本質は「人が考える時間・提案に集中する時間」を生み出す仕組みづくりです。
- 提案資料の自動生成
- インタラクティブな商談型動画(例:VidDXなど)の活用
- 顧客ごとの反応データを元にしたストーリーテリング
これらはすべて、営業が「感情に寄り添う」「意思決定を後押しする」ための時間を確保するためにあります。
6.まとめ:CAC→LTVの時代に、何を優先すべきか
これからの営業戦略において重要なのは、「量」ではなく「質」への転換です。CACが高止まりする中、1件1件のLTVをどう最大化していくか。
そのためには、営業の役割を“受注担当者”から“価値を届ける体験設計者”へとシフトさせていく必要があります。
限られたリソースをどう使い、どの顧客に、どんな価値を届けるのか──それを考え抜く企業こそが、この変化の時代を勝ち抜く鍵を握っているのです。